動き豊かに暮らそう! movement-fulness を目指して

日本Gボール協会理事長 長谷川 聖修

近年、コロナの影響で、本協会の活動もたいへん厳しい状況が続いてきましたが、ようやく本来の活動を再開できる状況に戻りつつあります。会員の皆様のご理解とご協力に心から感謝申し上げます。

昨今のトレンドでは、「マインドフルネス mindfulness」がよく話題に上がります。心の安静を求めて、呼吸法や瞑想などを通じて意識を集中するなどの 活動が盛んに行われています。しかし、私たちの心とからだを別々に考えることはできません。例えば、春になり、桜の花を見れば心がワクワクして、思わず散歩したくなります。そして、散歩すると気分は益々晴れやかになります。つまり、「身心一如」です。

弾み、転がる特性のGボールに触れることで、老若男女、誰もが楽しい気分になることは周知の通り。座ってリズミカルに弾み(写真1)、スーパーマンのようにボールの上を滑り(写真2)、ロディにまたがる(写真3)だけで、なぜか自然に笑みがこぼれてきます。

そこで、従来のマインドフルネスの試みに加えて、日常生活における動きを豊かにする考え方として「ムーブメントフルネスmovement-fulness」という新たな概念を提唱したいと 思います。心や意識をコントロールすることに比べて、からだを動かすことは具体的で容易なことです。つまり、「心を豊かに」暮らすためには、まずは 「動きを豊かに」過ごすという基本に立ち返りたいものです。

現代を生きる私たちの生活は、自動化、効率化が進み、本当に便利になりました。しかし、見方を変えれば、「からだを動かさないように」仕向けられているとも言えるでしょう。その結果、日本人の座位時間が一日 平均7時間にも及び、世界1位という調査結果も報告されています1。もちろん、座り続ける不活発な暮らしが私たちの健康を脅かしていることは言うまでもありません。

そこで、私たちの暮らしをよりアクティブに導いてくれるアイテムのひとつとして、Gボールは大きな役割を果たすものです。私は、日常的にGボールに座ったり、立ったりしながらPC作業等に努めています(写真4)。軽く弾みながらの作業は、負担の少ない姿勢へと導くだけでなく、覚醒水準・集中力を高めることが実証されています2。まずは、椅子代わりにGボールを利用することで、長時間にわたり、座り続ける現代人に動きを取り戻すための一歩となることでしょう。

「動き豊か」で「心豊か」な暮らしの実現に向けて、本年も会員の皆様と一緒に顔晴朗 (^o^)

写真4

[1] Bauman A, Ainsworth BE, Sallis JF, Hagströmer M, Craig CL, Bull FC, Pratt M, Venugopal K, Chau J, Sjöström M; IPS Group. The descriptive epidemiology of sitting. A 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med 41: 228-235, 2011.

[2] https://g-ball.or.jp/paper/ より閲覧可能です
大塚隆,相羽達弥,長島圭子,山﨑清之,岡本克郎:Sitzball 着座時の覚醒水準の検討,東海大学開発工学部紀要 第6号(75-83) 1996年 9月


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